権力者にすり寄る人々。

権力者にすり寄る人々。

―計算高く、自らの良心を捨て、悪魔に魂を売った人々―


 例えばデヴィ婦人。この人は極貧の多問題家庭に生まれ、頭脳明晰でしたが家計のために銀座のホステスになり、わずかな期間でトップに躍り出た手練手管の人物です。
 日本を訪れたインドネシアの独裁者スカルノ大統領に気に入られ、第三婦人として父親ほど年の離れたスカルノと結婚し、インドネシアでは権力者の頂点の妻として君臨していた事で有名です。


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 彼女自身は大統領の第三婦人として豪勢な暮らしを楽しんでいましたが、国民は貧困にあえぎ、とうとう悪政のためにクーデターが起き、スカルノは失脚し、デヴィ婦人は夫を捨ててパリに亡命しました。

 この頭の良い女性の処世術は、「権力者に巧みに取り入ってパトロンとし、自らが利益を得る」と言う物です。
 全世界のどこにもこうした女性は存在します。貧しい出身であるために、人間、特に大衆、平均的な国民と言う存在が、どんなに弱者である女性達や貧困層、外国人労働者などに残酷で無慈悲であり、弱者を苛め抜くことを喜ぶ存在であるか、弱者には居丈高で残忍であるくせに、強者である権力者にはおどおどと奴隷のように卑屈に従う卑劣な存在であるからを知り抜いています。
 自らの不幸な境遇から抜け出すためにはいかなる権謀術数も残虐行為も厭いませんし、かつての自分と同じような弱い立場の人々への情けや憐れみなど一かけらもありません。そもそも、他者への善意も情けも全くない人間であるからこそ、あらゆる画策や計算高さで悪事も厭わず権力者にすり寄ってきた人間なのです。
 その上、自分自身の実体験として、いわゆる弱者とされる社会の底辺や貧困層が、実際には血も涙もない残酷な人間であることを知っています。
 もともと慈悲の心も善意もない人間が、実際に周囲の人々、大衆に残酷な扱いを受け続けたわけですから、他人が死ぬことも不幸になる事も、全く意に介する事がありません
 考えていることは自分の事だけ。他人などはライバルとして蹴落とすだけの存在であり、かつて自分を馬鹿にして虐めた大衆などは、たとえ飢え死にしようが何とも思わないどころか、嘲笑うのが関の山なのです。

 苦労人と呼ばれる一群の人々が存在します。苦労した結果、稀に他者の苦労も理解出来る憐れみ深い懐の深い人格を得る人もおられます。けれども、たいていの場合、苦労すればするほど、人は前以上に荒んで残酷に計算高くなり、強者には卑屈なまでに従うけれども、弱者や外国人労働者、少数民族や少数派には残酷で居丈高で血も涙もない怪物のような人間になる場合の方がはるかに多いのです。

 ヒトラーという人物が居ました。彼の父は、ユダヤ人銀行家の私生児だったため、父親であったユダヤ人を憎みぬいていました。ヒトラーはユダヤ人を憎む父親に、発狂するほどの虐待を受け、血まみれになるほどベルトで鞭打たれて育った結果、世界で最も残虐非道な独裁者になりました。


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 少数民族であるグルジア人の貧農の出身者であったスターリンも同様に、家族ですら信用できない猜疑心の塊のような人間として成長し、何の罪もない人々を、自己保身と権力維持のために惨殺する最悪の独裁者になっています。


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 これらの人間に共通するのは、もともと自分自身が計算高く残忍な人間であったことと、自己保身のために徹底的な権力志向になる事です。

 デヴィ婦人は、独裁者の愛人として豪奢な暮らしを楽しんでいた、ヒトラーの愛人、エヴァ・ブラウンのような人物です。
 
 ユダヤ人が次々に大量にヒトラーによって虐殺されていた事実を知り尽くしていながら、エヴァは虫けらか害虫が殺されるほどにも感じてはいませんでした。この点では、フランス革命当時の王侯貴族の代表者としてのマリー・アントワネットが、ファッションと愛人との不倫、サロンでのゴシップを楽しむ事で頭がいっぱい、国民や国民の子供達が飢えて死んでいる状況など何の関心もなかったのと同じです。
 それが中国の皇帝であれ日本の天皇家であれ、ヒトラーの愛人やフランス貴族であれ、生まれながらの特権階級意識に染まって成長すると、日本の与党の二世、三世議員を見ればわかる通り、普通の国民の苦渋や貧しさや悲劇などには全く関心もなく知識も経験も実体験もない、酷薄で弱者に限りなく残忍な人間集団が出来上がるのです。

 生まれてこの方、飢えた事もお金に困った事も一度もないような人間が、貧困児童の悲哀や、消費税増税やリストラに悲鳴を上げる普通の国民の苦悩など理解出来ようはずがないのです。
 その点では、政府は最低限、世襲議員の存在を許さないような法整備をしない限り、平均的な国民感覚を理解して政治を実行する議員は決して育たないでしょう。
 従って、二世、三世議員で埋め尽くされている現行の与党議員は、ほとんどが議員であるべき資質を持たないと言っても決して過言ではないでしょう。
 アメリカの武器ならば、自己保身のために天文学的な予算を回して購入するくせに、貧困児童のため、あるいはネット授業のための予算はびた一文出さない安倍政権や菅政権をご覧になれば、世襲議員の弊害が如実に理解できるでしょう。
 安倍晋三は三世議員、は富豪のイチゴ農家の跡取りで、父親は議員を務めるほどの地元の名士でした。

 デヴィ婦人は、世界美容整形外科学会から、ナチスヒトラーを礼賛し、ユダヤ人虐殺も南京虐殺も否定する倫理観の欠片もない残忍で狂気の右翼として除名された高須クリニック院長ともども、従軍慰安婦像その他、自由な表現をテーマにした展示会を主催した愛知県知事のリコールを主張し、書籍まで発行している有様です。
 言うまでもなく、現在の日本は、右翼団体「日本会議が自民党議員の90%以上を占めています。その手口は、罪もない外国人を差別し、国民に弱い者いじめを奨励する事によって与党や首相の悪事や組織的犯罪、悪政を隠蔽するという物ですから、政治的権力を掌握しているのは右翼です。
 従って、全世界で差別や弱い者いじめを非難していても、国内では右翼にしっぽを振ってさえいれば権力のおこぼれにあずかれます。


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 こうして、今の日本では、貧困児童や女性差別、外国人差別や近隣諸国へのバッシングを嫌う良心的で勇敢な人々は、右翼の牙城と化した差別助長の悪辣な与党を批判しますが、計算高く自己保身しか頭になく、弱い立場の人たちや貧しい子供たちをいじめる事を喜ぶ残酷で人間の屑としか言いようのない連中が、政府と一緒になって右翼的な発言、差別発言、外国人差別を吹聴しているのです。

 苦労人を売りにして、実際にはヒトラーやヒトラーの支持者、右翼団体の犬として生きる人間の屑の例としては、松本人志、維新の会、希望の党、橋下徹、菅義偉などがいますが、苦労した結果、弱者の福祉のために尽力する例外的な人々も稀ではありますが存在します。

 私生児として生まれ、アルゼンチンの大統領夫人になった、マリア・エバ・ドゥアルテ・デ・ペロン(María Eva Duarte de Perón)。エビータとして今でもアルゼンチンの人々に愛されている人物ですが、苦労人として育った彼女は、最後まで貧農や弱い立場の女性達の味方であり続け、様々な福祉政策を夫に実行させました。
 彼女が幼い頃から、農場の労働者たちに可愛がられ大切にされてきた事実は、長じて彼女が労働者の側に常に立脚して生きた人生とは無関係ではありません。

 私生児であったこの少女をありのままに受け入れ優しくしてやった農場の労働者たち。この善良な人々の善意と親切、やさしさと愛情こそが、彼女の労働者への共感と憐れみに結実したのはまず間違いない事実でしょう。


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 それからフランスのシャンソンの女王として有名なエディット・ピアフ。は旅芸人の父の下に生まれ、幼い頃に母に捨てられ、娼館の経営者であった祖母と娼婦達に育てられました。彼女を歌手としてバーでデビューさせたのは、同性愛者であったバー経営者の男性でした。
 彼女のファンには、娼婦や同性愛者のファンが多数いましたが、この稀有なる天才女性もまた、苦労人として育ったものの、多くの人々の愛情によって育まれた歴史の裏打ちこそが、全ての人々のために命を懸けて歌い続け、孤児や不幸な人々のために莫大な額の寄付を繰り返した事実の根源にありました。

 人間に生来の個性がありますから、最終的にどんな生き方を選ぶかは、それぞれの個人の責任です。けれども、弱く幼い頃に一かけらの憐れみややさしさ、愛情や真心を注がれることにより、歪みひねくれ、荒み切った残酷な人間になるのではなく、憐れみや共感、慈悲ややさしさを選べる尊い人間の魂が育まれる可能性が存在するのです。


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コメント

DANGER MELON

確かにそう言いう一面もあるとは思いますが
こんにちは。
確かに、生まれた家や、育った環境、体験したことなどの「環境要因」は、教育学的に考えると個人の「社会化」に影響を与えている大きな要因ではあると思います。

しかしながら、やはりそれだけではないと思うのです。

フィデル・カストロ・ルスは、裕福な農場主(だったかな?)に生まれましたが、貧困層を助けるための革命に身を投げ、キューバ革命を成功させました。
彼の姉妹や母親は、彼の理想である平等を嫌って、富豪のままありたいと願い、アメリカに亡命して、ずっとキューバを批判し続けています。
この事を考えると、フィデルはあまり環境要因に左右されていないように思います(弟ラウルは、兄と言う環境要因に影響を受けた気もしますが・・。)。

もちろん、持って生まれた資質なども関係があると思いますが、この様な事を考える時、私は『その個人が如何に思考を重ねたか』・・が、関係してくると思うのです。

例えば、大阪の偏執政党を作ったタレント弁護士などは、日ごろの攻撃的な言動や、相手を見て態度を変える卑怯な姿勢を抜きに考え(多数に支持されそうな有名人相手の対話などの際など。)た時、いくらそれらしい言葉を並べていても、その口から出る理屈は薄っぺらな言葉の羅列にしか聞こえないのです。私には、そこに熟考された重みを感じないのです。

闇の中の光

コメントありがとうございます。
 遺伝子と環境要因で全てが決まります。

 遺伝子は両親からもらう物であいり、個人の努力では変えられません。
 環境要因についても、国籍、遺伝的性別、親の人格と考え、育児環境、虐待されるのか愛されるのか、生まれてきた赤ん坊には決定できません。
 
 環境の中で自分の思考と情動、環状、言動の在り方を選ぶのは個人ですが、それとても、社会に出て、両親や肉親が死亡した後でのみ可能であって、係累がある間は自分だけで考えを深化させることはできません。

 橋下徹の父親は被差別部落民出身の暴力団でした。被差別差別民、少数民族は、今の日本の右翼がしているように差別され残酷に扱われます。外国人労働者も、今の日本のベトナムの若者達のように酷い奴隷扱いをされます。
 こうした人々がギャングや暴力団化するのは全世界的な常識です。
 
 さらに、遺伝子は変化しないものの、その発現携帯は環境要因で変化します。

 橋下は残酷で狡猾な計算高い人間の屑です。虐待される子供達や差別される人々には罪がありませんが、その子が長じて虐待する親や犯罪者になったなら、その犯した罪はその人の責任です。
 子供の虐待や差別が、どれほど残酷な罪であるかが御理解頂けましたか?
 
 親に殴り殺され続けている乳児には罪がありますか?

 差別される外国の人々にどんな罪がありますか?

 侵略戦争を仕掛けられた国家にどんな罪がありますか?

 3歳から実の親に性的虐待を続けられ、父親の子を何度も中絶したあげく、たまりかねて中学で家出し、暴力団に性風俗店で働かされ、覚せい剤中毒にさせられる子供達が存在します。

 この子が悲惨な状態で荒んだ場合、「考えを深化させなかったこの女が悪い」事になるのでしょうか?

「考えの深化」など、何の価値もありませんし、これらの責任は、社会と国家、政府にあります。

 なお、「考えの深化」「個人の考え方次第だ」「客観的事実など存在しない」と語ったユダヤ人のアドラーは、足が不自由でしたが、自分のハンディについては見て見ぬふりをし、ナチスによるユダヤ人虐殺と言う「客観的事実」を見て、自分だけはいち早く逃げています。

 アドラー心理学が、独裁国家でもてはやされているという事実は知るべきです。残酷で狡猾な人間ができるのは、実際にはネグレクトや虐待による部分が多く、発達障害の多くは親の愛情と適切な医学的扱いで改善するという事実を御存知でしょうか?

 あなたの御指摘が正しいなら、
「考えの深化によって、虐待され殺され植物状態に陥った赤ん坊も、自己人生をどうにでもできる」事になりますね。

 まず、あなた御自身が、御自身の「考えを深化」させてください。できるものならば。
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